ラングドック・ルーションのワイン Languedoc Roussillon Wine

フランスワイン

ラングドック・ルーション - Languedoc Roussillon -

ラングドック・ルーション Languedoc Roussillon 地図
ラングドック・ルーション Languedoc Roussillon 地図
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フランスの新世界 ラングドック

ラングドックではギリシャやローマの植民地時代からぶどう栽培が行われており、実に3,000年近い歴史があります。
恵まれた日照量と安定した気候はぶどう栽培に適しており、この地区だけでフランスワイン全体の何と40%ものワインを生産しています。
安価なワインを大量生産することを得意としており、特に鉄道網が整備されてからは、この地の低価格ワインが大消費地パリに大量に流入するようになりました。
ブルゴーニュやシャンパーニュが現在のように高級ワインに力を入れているのは、その激しい価格競争に敗北した結果なのです。
ラングドックのワインは「ミディのワイン」の愛称で親しまれ、フランスのみならず世界中で愛されてきました。
ところが皮肉なことに、この「安価」さが今では大きなネックとなっています。
かつてフランスの成人1人当たりのワインの消費量は年間200リットル近くあったと言われていますが、それが現在ではたったの60リットル程度にまで落ち込んでいます。
その背景には食事のライト化、ミネラルウォーターやビール、コーラなどワイン以外の飲料の充実、そしてアルコール自体を敬遠するヘルシー志向などがあります。
またワイン消費量の激減と共に、消費するワイン自体も次第に高品質のものへとシフトしてきています。
水代わりとして大量に飲まれてきたミディのワインは、もはや時代の流れから完全に取り残されてしまったのです。
そこで対抗措置として高貴品種への植え替えや他作物への転換など、官民一体となったドラスティックな改革を断行、やがてヴァン・ド・セパージュ(新大陸で言うヴァラエタル・ワイン)を中心とした、新しいマーケットを意識したワイン群が登場しました。
現在ショップの店頭を飾るカベルネ・ソービニヨンやシャルドネといったぶどう品種名をラベルに大書したフランス産のワインは、ほとんどがこのラングドックのワインです。
一方で多種多様なスタイルの混在するラングドックのワインは統一感に欠け、あいまいな地域性を生んでいます。
ラングドックと一口に言ってもそのエリアは広大で、しかもAOCによって認可されているぶどうの種類も多岐に渡ります。
その内どのぶどうを使うか、どのくらいの比率でブレンドするかは全て生産者側の裁量にゆだねられており、結果として様々なスタイルのワインが乱立してしまっているのです。
高品質とはすなわちテロワールの表現であるというのはAOCの基本概念です。
今後さらに大きく飛躍するに当たって、産地としての個性・独自性を確立できるかどうかが大きな鍵となっていくでしょう。
[ ラングドック東部地図 ]
ラングドック東部 地図
ラングドック東部 地図

[ ラングドック西部地図 ]
ラングドック西部 地図
ラングドック西部 地図

ルーション地区 Roussillon

ルーション地区は地理的にはスペイン国境に接し、1659年まではスペイン領でした。
それゆえ文化的にも精神的にもスペインの影響が色濃く残り、この地の人々は今でも自分達をフランス人というよりもカタロニア人だという意識を強く持っています。
ワイン産地としてのルーションは、VDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレル Vins Doux Naturels)とVDL(ヴァン・ド・リケール Vins de Liqueur)の甘口ワインで良く知られています。
豊富な日照量と年間550ミリ程度の降水量は熟度の高いぶどうを生み出し、時には樹についたまま干しぶどう状になることもあります。
このような糖度の高いぶどうから甘口ワインが造られるのは、ある意味自然の成り行きと言えました。
ちなみにVDNは果汁の発酵途中に、VDLは発酵前にアルコールを添加して果汁の天然糖分を残したワインです。
中でもバニュルスは特に質の高いVDNとして人気があります。
バニュルスはスペイン国境と海岸沿いに面した小さなエリアで造られるワインで、30ヶ月以上もの樽熟成が義務付けられています。
ぶどうは主にグルナッシュが使われ、特に良年にはバニュルス・グラン・クリュが造られます。
またバニュルス・ランシオと呼ばれる、故意的に酸化の風味をつけた変り種もあります。
現在ルーションのVDNとVDLの生産量は、フランス全体の酒精強化ワインの約8割にも及び、この地区を支える大きな経済基盤になっています。
もちろん酒精強化した甘口ワイン以外に普通のワインも造られており、こちらも近年非常に人気が高まっています。
基本的には日常消費用のテーブルワインですが、最近では品質志向のワインも少しずつ造られるようになってきており、将来的にとても楽しみな産地です。

[ ルーション地図 ]
ルーション 地図
ルーション 地図

ヴァン・ド・ペイ・ドック Vins de Pays Doc

ヴァン・ド・ペイはワイン法上の格的にはテーブルワインにあたる、いわゆる並酒のワインです。
ただし法律上の「格」と味わい上の「格」はそもそも全く別個のものと考えるべきで、事実ラベル上はヴァン・ド・ペイであっても、本来その上級ワインであるはずのAOCワインよりも、明らかにレベルの高いワインというものが、現実に数多くあります。
ヴァン・ド・ペイの大きな特徴は、テーブルワインであるにも関わらず、実質的に産地表示ができるという点です。
この産地表示には3つのレベル、
  1. 95の小地区
  2. 54の県
  3. それらを包括した4つの大区分
があります。
中でも最も重要なのが、ここラングドック地方で作られるヴァン・ド・ペイです。
この地区で作られるものは、ヴァン・ド・ペイ・ドックの呼称でリリースされ、近年フランス産の低価格ワイン市場を大きく賑わしています。
制定されている栽培範囲は4つの県、ガール Gard、エロー Herault、オード Aude、ピレネー・オリエンタル Pyrenees Orientales をまとめた広域エリアになります。
ヴァン・ド・ペイはさらに3つのカテゴリーに分ける事ができ、
  1. ヴァラエタルワイン:ぶどう品種名表示タイプ
  2. ブレンドワイン:複数品種のブレンドワイン
  3. ヌーヴォー:10月第3木曜日に解禁
があります。
今一番ショップの店頭で見かける機会が多いのは1.のタイプで、本来フランスワインの伝統にはないぶどう品種名の表示は、明らかにカリフォルニアやチリといった新世界ワインを意識しています。
事実ヴァン・ド・ペイ・ドックの呼称誕生の背景には、新世界ワインへの対抗手段の獲得という目的がありました。
また2.のタイプも非常にユニークで、ワインの品質を追い求めるばかりに、AOCの規定枠内をはみ出してしまい、結果的にヴァン・ド・ペイ呼称で売られているものがあります。
その最も象徴的な例がマス・ドマス・ガサック Mas Daumas Gassac のワインで、使用されるぶどう品種がAOCの規定に合わず、結果的にヴァン・ド・ペイ・ド・レロー Vins de Pays de l'Herault の呼称で販売されていますが、そのワインは「高品質ワイン」として、AOCワイン以上の高い評価を受けています。
このような斬新さが、この地方が「フランスの新世界」と呼ばれる由縁で、これからも興味深い「高品質ヴァン・ド・ペイ」が続々と生まれ、我々を楽しませてくれそうです。

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